コミックマーケット77 2日目
12/30(水)

東地区 S-08b  「.17」


文庫/244P 800円


 ■マーメイド、山へ(kobax)

 死にたがりの少年ソルは、ある日森の中に迷い込んだ。
 人もいなければ光も無い夜の森で、少年は首を吊るための縄を綯ぐ。
 その時突然、近くの池から声がする。
「あのすみません、ここ山ですか?」そう訊いたのは、足に尾びれがある人魚だった。
 緑色に光り、空を飛び、山にいる変な人魚リタリーと、少年ソルとの生活が始まる。
 しかし――彼らはそれぞれに秘密にしていることがあった。

 ―――少年と人魚の物語。
   

■ローランダ、空へ(kobax)

 樵が倒れている小鳥を見つける。
 それは平凡な出会いだった。
 小鳥が飛べるようになるため、樵は手助けする。
 それは充実した毎日だった。
 だが、彼らの願いが叶う日はいつまで経ってもやってこない。
 空はいつも変わらず、彼らを眺め続ける。

 ―――小鳥と樵の物語。
  ■ガーゴイル、君へ(kobax)

 長い、長い時間を生きた男がいた。
 殺戮も愛憎も怠慢も、全てやり終えた。もう男にすることなど何も無い。
 僕(しもべ)と二人で暮らす、何もない毎日。何を求めて、どう生きようか。答えはなかなか見つからない。
 そんなある時、僕から突然聞かされる教員採用の報せ。
 性別は悪魔、職業は音楽教師。一人の少女との出会い、音楽への探求が男に変化をもたらしていく。
 そして、徐々に明らかになる物語の真相とは――。
 全てはここに始まり、何も終わらない。

 ―――悪魔と少女の物語。

     ■スーベニア、夜へ(広瀬凌)

 男は吸血鬼だった。しかし、他の吸血鬼のような強い力や、魔を操る力がなかった。終わるとも思えない、ただ長い命だけが彼が化物である証だった。

 冬のある日、山間に凍える古城に男は現れた。
 城の主は黒い衣装を纏う吸血鬼だった。
 男には目的があった。吸血鬼の王たるドラキュラに、名前を貰う事だった。

 スーベニアと名付けられた吸血鬼は、旅先で女性の人形師と出会う。
 パトリシアと名乗った女性との日々。
 ゆるやかな時間の中、吸血鬼であるスーベニアは何を思うか。

 ―――吸血鬼たちの物語。